検査結果の見方

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尿検査・血液検査・便潜血反応結果の見方
尿検査
尿蛋白や尿糖、尿潜血反応などを調べることで、腎機能障害や糖代謝異常等の判定をするのに役立ちます。
血液検査
肝機能異常がないか・B型肝炎、C型肝炎ウイルスの感染の有無・糖尿病の疑いがないか・腎機能障害の疑いがないか・痛風や腎機能障害の原因となる、高尿酸血症がないか・炎症反応・ABO式、RH式の血液型・膵炎等、膵臓機能に障害がないかを調べたり、悪性腫瘍の診断をします。
便潜血反応
便に血液が混じっていないかを調べます。
陽性になる要因として、大腸ポリープや大腸がん等が考えられます。
 
尿検査
尿蛋白
血液は腎臓の中で不要物だけがろ過され、尿中に排泄されます。
腎機能が低下すると、体にとって必要な蛋白が腎臓から漏れ出てきます。
尿潜血
尿路結石、膀胱炎、糸球体腎炎などで陽性となります。
女性では病気がなくても陽性になる率が高めです。
尿糖
血液中の糖濃度がある値(おおよそで160~180mg/dL)を超えると再吸収しきれなくなり尿中に糖が漏れ出てきます。糖尿病、甲状腺機能亢進症や腎性糖尿などで陽性となります。
腎性糖尿とは血糖値が高くなくても、尿糖が陽性になる病態で、問題ありません。
尿沈渣
尿を遠心分離にかけ、沈殿した固形成分を調べます。腎・尿路系に異常があるとき、部位や原因を判断するのに役立ちます。
 
便検査
便潜血
便に血が混じっているかどうかを調べます。
大腸がんをはじめ、良性ポリープや腸炎、痔でも陽性になることがありますが、陽性の場合は大腸内視鏡検査をお勧めします。
 
血液検査(肝臓系)
総蛋白
血液中の総たんぱくの量を表します。
数値が低い場合は栄養障害、ネフローゼ症候群、がんなど高い場合は多発性骨髄腫、慢性炎症、脱水などが疑われます。
アルブミン
血液蛋白のうちで最も多く含まれるのがアルブミンです。
アルブミンは肝臓で合成されます。肝臓障害、栄養不足、ネフローゼ症候群などで減少します。
AST(GOT)・ALT(GPT)
AST(GOTともいう)は、心臓、筋肉、肝臓に多く存在する酵素です。
ALT(GPTともいう)は肝臓に多く存在する酵素です。
数値が高い場合は急性肝炎、慢性肝炎、脂肪肝、肝臓がん、アルコール性肝炎などが疑われます。
γ-GTP
γ-GTPは、肝臓や胆道に異常があると血液中の数値が上昇します。
数値が高い場合は、アルコール性肝障害、慢性肝炎、胆汁うっ滞、薬剤性肝障害が疑われます。
 
血液検査(腎臓系)
クレアチニン
アミノ酸の一種であるクレアチンが代謝されたあとの老廃物です。
筋肉量が多いほどその量も多くなるため、基準値に男女差があります。
腎臓でろ過されて尿中に排泄されます。数値が高いと、腎臓の機能が低下していることを意味します。
尿酸
尿酸は、たんぱく質の一種であるプリン体という物質が代謝された後の残りかすのようなものです。
この検査では尿酸の産生・排泄のバランスがとれているかどうかを調べます。
高い数値の場合は、高尿酸血症といいます。
高い状態が続くと、結晶として関節に蓄積していき、突然関節痛を起こします。
これを痛風発作といいます。また、尿路結石も作られやすくなります。
 
血液検査(脂質系)
総コレステロール
血液中にはコレステロールという脂質がふくまれています。
ホルモンや細胞膜をつくるうえで大切なものですが、増えすぎると動脈硬化を進め、心筋梗塞などにつながります。
数値が高いと、脂質代謝異常、甲状腺機能低下症、家族性高脂血症などが疑われます。
低い場合は、栄養吸収障害、低βリポたんぱく血症、肝硬変などが疑われます。
HDLコレステロール
善玉コレステロールと呼ばれるものです。
血液中の悪玉コレステロールを回収します。
数値が低いと、脂質代謝異常が疑われ、動脈硬化の原因にもなります。
LDLコレステロール
悪玉コレステロールとよばれるものです。
LDLコレステロールが多すぎると血管壁に蓄積して動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞を起こす危険性を高めます。
中性脂肪
体内の中でもっとも多い脂肪で、糖質がエネルギーとして脂肪に変化したものです。
数値が高いと動脈硬化を進行させます。低いと、低βリポたんぱく血症、低栄養などが疑われます。
 
血液検査(糖代謝系)
血糖値
糖とは血液中のブドウ糖のことで、エネルギー源として全身に利用されます。
測定された数値により、ブドウ糖がエネルギー源として適切に利用されているかがわかります。
数値が高い場合は、糖尿病、ホルモン異常などが疑われます。
HbA1C
HbA1C(ヘモグロビン・エーワン・シー)は、過去1~2ヶ月の血糖の平均的な状態を反映するため、糖尿病のコントロールの状態がわかります。
 
血液検査(血球系)
赤血球(RBC)
赤血球は肺で取り入れた酸素を全身に運び、不要となった二酸化炭素を回収して肺へ送る役目を担っています。
赤血球の数が多すぎれば多血症、少なすぎれば貧血が疑われます。
血色素(Hb)
血色素とは赤血球に含まれるたんぱく質で、酸素の運搬役を果たします。
減少している場合、貧血などが疑われます。
ヘマトクリット(Ht)
血液全体に占める赤血球の割合をヘマトクリットといいます。
数値が低ければ貧血などが疑われ、高ければ多血症、脱水などが考えられます。
白血球(WBC)
白血球は細菌などから体を守る働きをしています。
数値が高い場合は細菌感染症にかかっているか、炎症、腫瘍、血液疾患の存在が疑われます。
たばこを吸っている人は高値になります。
少ない場合は、ウイルス感染症や再生不良性貧血などの血液疾患の存在が疑われます。
血小板数(PLT)
血小板は、出血したとき、その部分に粘着して出血を止める役割を果たしています。
数値が高い場合は血小板増多などや、また、低い場合には再生不良性貧血、特発性血小板減少性紫斑病などの血液疾患の存在が疑われます。
また、肝硬変などによる破壊でも血小板数は低値となります。
 
血液検査(感染症系)
CRP
細菌・ウィルスに感染する、がんなどにより組織の傷害がおきる、免疫反応障害などで炎症が発生したときなどに血液中に増加する急性反応物質の1つがCRPです。
梅毒反応
梅毒に感染しているかを調べます。
ただし、結核、膠原病など梅毒以外でも陽性になることがあり、これを生物学的偽陽性といいます。
陽性の場合は区別するために精密検査を受けてください。
HBs抗原
B型肝炎ウィルスの感染の有無を調べます。
陽性の場合は、現在B型肝炎ウィルスが体内にいることを意味します。
HCV抗体
C型肝炎ウィルスの感染の有無を調べます。
陽性の場合は、現在C型肝炎ウィルスが体内にいることを意味します。
 
腫瘍マーカー
腫瘍マーカーは、悪性腫瘍で、しばしば高値を示す検査項目です。
しかし、炎症など、良性疾患でも高値になることがあり、単独では診断はできません。
高値の場合は、専門医への相談をお勧めします。
CA19‐9
高値・・・すい臓がん、大腸がん、胆道がん、胃がん、胆石症、肝炎、肝硬変、糖尿病、気管支拡張症、妊娠
※ヘビースモーカーでも軽度の陽性を示すことがあります。
AFP
高値・・・原発性肝がん、卵巣がん、慢性肝炎、肝硬変
※重篤ながんでも陰性を示すことがあります。
CA125
高値・・・卵巣がん、すい臓がん、妊娠早期、感染症、胸膜炎、腹膜炎、子宮筋腫
※女性の月経周期により変動します。閉経後の女性でも高値を示すことがあります。
CEA
高値・・・大腸がん、胆道がん、胃がん、すい臓がん、肺がん、直腸結腸がん、乳がん、肝硬変、慢性肝炎、腎不全、肺炎
※喫煙や高齢者でも上昇を認めることがあります。
PSA
高値である場合、前立腺肥大、前立腺癌など前立腺疾患が疑われます。